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古都探訪1 銀閣寺

2月26日 晴天。
造園工事ではいつもお世話になっている
松匠の岩崎さんと京都へ出かけた。
かねてより、庭造りのアイデアポケットを増やすための
散策の必要性を感じていた。その第1弾という訳である。


その日は、突然やって来、
計画など綿密に立てることもできないまま
朝の電車に乗り込んだので
思いつきで、銀閣寺へまず行くことにした。
そういえば、以前より「向月台と銀沙灘」が
気になっていたのだ。

「向月台と銀沙灘」とは、
銀閣寺境内にある庭園にデザインされた 
“砂のオブジェ”と言う印象がある。
昔から目するスナップ写真は
いわゆるお寺にある庭園のイメージとは
明らかに違っていた。



にぎやかな参道を通り抜けると
落ち着いた佇まいの門がある。
と、すぐに直角に右折。
まるで巨大迷路に迷い込んだような風景が現れた。








おもしろい。意図的な演出がなされている。
これから現れる風景をピュアに感じるために
心身をリセットさせられた気分だ。

 
そのまっすぐなアプローチを突き当り左に折れると
中門があり、チケットを購入。
庫裡前の砂紋の石庭を左に見ながらさらに進み
宝処関という門をくぐった。








突然、向月台が目の前に現れた。
唐突であった。
想像では、遠く風景のむこうに
向月台と銀閣が姿を見せるであろうと考えていたのだ。
本堂へ近づくにつれ、銀沙灘の全景も明らかになり
本堂の前で振り返ると、
銀沙灘と向月台のむこうに銀閣が見える
定番のアングルが、完成した。








実に不思議な感覚にさらされる風景である。
妙に宇宙な気がするのは、自分だけだろうか?


この二つの砂盛の意図については
はっきりした記述が見当たらない。
中国西湖の風景にならったもので、
大海原とかなたの山を表しているとか
銀沙灘は月の光を反射させるため、
向月台はこの上に坐って東山に昇る月を待つためのものだ
などとも言われている。
いずれにせよ、この庭を江戸時代に再興する際
この最終形まとめた作者は、型にはまらない、
前衛的な思考の持ち主であったに違いない。
長い年月を経ても、その姿勢が活々と伝わってくる。


ただ、銀沙灘を中心に歩いたとき
特定の位置からのバランスは絶妙だが
二つの砂盛を、後でこの庭に加えたという
違和感を感じてしまう。
通路と銀沙灘との距離感や灘の高さ、
向月台の周囲のスペースの按排(あんばい)などに・・。


この庭園は、砂盛のほかに
銀閣と調和させた池と苔庭の広いエリアもある。
夢窓国師の作庭による
洛西の西芳寺(苔寺)庭園を模倣したと言われている。
幾種類もの苔が、木漏れ日に瑞々しく輝いていた。











銀閣を背景に、色々な表情を見せてくれる庭園であった。